花橘亭〜なぎの旅行記〜平安時代好きの京都旅行記陽春の京都平安装束体験所



平安装束体験所


小袿姿・十二単姿


小袿姿・十二単姿

フラッシュなしで撮影。


小袿姿・十二単姿

フラッシュ有りで撮影。



小袿姿・十二単姿

 帰宅後、上のツーショット写真を見て、『紫式部日記絵巻』蜂須賀家本にある一場面を想い出したのでした。

 なんとなく構図が似ていると思いませんか?(*^-^)b


紫式部日記絵巻 新楽府進講

  小袿姿の中宮彰子【左】に『白氏文集(はくしもんじゅう)』の「新楽府(しんがふ)」をお教えしている十二単姿の紫式部【右】という図です。

※『白氏文集(はくしもんじゅう)』=中国 唐の時代の詩人・白居易<白楽天>の漢詩文集です。
 絵では、向かい合っている中宮彰子と紫式部の間にある文机(ふづくえ)の上に『白氏文集』が広げられています。


※『紫式部日記絵巻』=紫式部によって記された『紫式部日記』をもとにして鎌倉時代(13世紀)に制作された絵巻。


 では、最後に『紫式部日記』での中宮彰子の小袿着装例をご紹介します。


『紫式部日記』より 若宮(敦成親王)誕生後五十日の祝いの場面

 大宮は葡萄染めの五重の御衣、蘇芳の御小袿たてまつれり。

 
(訳:中宮様は葡萄染めの五重襲の袿に、蘇芳の御小袿をお召しになっている。


『紫式部日記』より 二の宮(敦良親王)誕生後五十日の祝いの場面

 宮は例の紅の御衣、紅梅、萌黄、柳、山吹の御衣、上には葡萄染めの織物の御衣、柳の上白の御小袿、紋も色もめづらしく今めかしき、たてまつれり。

 (訳:中宮様はいつもの紅色の袿に、紅梅、萌黄、柳、山吹の袿をお重ねになり、表着には葡萄染めの織物をお召しになり、柳の上白の御小袿、紋も色も珍しく当世風なのをお召しになっていた。


【本文・訳 引用: 渋谷栄一氏のサイト『源氏物語の世界』


 どちらも皇子誕生後五十日のお祝いの場面において、中宮彰子は華やかな小袿を着ていることがうかがえます。
 それぞれ母としての幸福感あふれた日だったことでしょうね。

 敦成(あつひら)親王はのちの後一条天皇、敦良(あつなが)親王はのちの後朱雀天皇になります。




檜扇

 平安装束体験所の皆様・ろすまりんさん・くたくたさん、ありがとうございました!!



【参考】
「日本女性服飾史」 著:井筒雅風/発行:光琳社出版
「十二単のはなし 現代の皇室の装い」 著:仙石宗久/発行:婦女界出版社
「服装から見た源氏物語」 著:近藤富枝/発行:朝日新聞社
特別展「紫式部日記絵巻と王朝の美」図録 発行:財団法人 五島美術館



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