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風薫る京都
〜2007年5月20日〜
なそり
舞楽『納曾利』
「納曽利」または「納蘇利」、「落蹲(らくそん)」・「双竜舞(そうりゅうまい)」ともいいます。一人または二人の舞です。 面は、吊りあごと銀歯のついた龍を模した紺青色と緑青色の二種類があり、どちらかの面を使います。今回は緑青色のお面でした。 龍が楽しげに戯れる様子を表したもので、舞の中に蹲る(うずくまる)所作があります。 『納曾利』は、舞楽『蘭陵王』に対する答舞(とうぶ)として舞われます。 『源氏物語』第25帖<蛍>では、六條院 夏の御殿<東北の町>の馬場殿での騎射の場面で 「打毬楽」「落蹲」など遊びて、勝ち負けの乱声どもののしる (現代語訳:「打毬楽」「落蹲」などを奏でて、勝ち負けに大騒ぎをする) とあります。 『源氏物語』第34帖<若菜上>では、源氏四十の賀の紫の上による薬師仏供養、精進落としの宴において舞楽を演奏しました。 高麗の乱声して、「落蹲」舞ひ出でたるほど、なほ常の目馴れぬ舞のさま (現代語訳:高麗楽の乱声(らんじょう)をして、「落蹲」が舞い出たところは、やはり常には見ない舞の様子) とあります。異国情緒あふれる龍の舞を讃えているのですね。 “乱声(らんじょう)”とは、勇壮な舞楽を演じる際、その初めや終わりに数人で管楽器を奏で打楽器を乱打することのようです。ファンファーレみたいな感覚でしょうか。 『源氏物語』第35帖<若菜下>では、朱雀院五十の賀の試楽では、源氏の君の息子・夕霧の長男が童舞(わらわまい)として「落蹲」を舞ったとあります。 あらっ。『源氏物語』では“落蹲(らくそん)”という表記のみで“納曾利”という記述はないのですね。 |
三ノ鼓(さんのつづみ) | 篳篥(ひちりき) | 太鼓 | 鉦鼓(しょうこ) | 高麗笛(こまぶえ) |
【参考】 | |
HP『風俗博物館〜よみがえる源氏物語の世界〜』→「雅楽・行幸の演出」 | |
『雅楽 ―僕の好奇心』 | 著者:東儀秀樹/発行:集英社新書 |
『源氏物語図典』 | 編:秋山虔・小町谷照彦/作図:須貝稔/発行:小学館 |
『源氏物語必携事典』 | 編:秋山虔・室伏信助/発行:角川書店 |
【本文・現代語訳引用】 | |
渋谷栄一氏のHP『源氏物語の世界』 | |
【写真撮影&提供】 この旅行記を制作するにあたって助かりました。ありがとうございました! | |
『京と陰陽道楽』 管理人:くたくたさん |
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