『花橘亭』「平安時代好きの京都旅行記」初春の京都風俗博物館



初春の京都
〜2007年1月17日〜

ふうぞくはくぶつかん
風俗博物館


5、生ける仏の御国(みくに) 『源氏物語』<初音>より

〜六條院の新春 梅の花に競う薫香〜


源氏香 初音


生ける仏の御国

源氏36歳の元旦、昨年夏に完成した六條院において初めての新春を迎えました。


春の御殿の御前、とりわきて、梅の香も御簾のうちの匂ひに吹きまがひ、生ける仏の御国とおぼゆ。

(春の御殿のお庭は、特別で、梅の香りも御簾の中の薫物の匂いと吹き混じり合って、この世の極楽浄土と思われる。)



紫の上 紫の上

昨年暮れに源氏より贈られた装束を着ています。

紅梅のいと紋浮きたる葡萄染の御小袿、今様色(いまよういろ)のいとすぐれたるとは、かの御料。

今様色とは:
当世風の流行の色で紅花で染めた色、または濃い紅梅色。
源氏の君 源氏の君
装束に香(こう)を焚き染める女房 装束に香(こう)を焚き染める女房
調合した練香(ねりこう)を火取(ひとり)で燻らす女房




今回の展示では、香木の香りをきくことができるコーナーがありました。
(画像にマウスカーソルをあててみてください)


(六条院 春の御殿 紫の上付きの女房たちは)ここかしこに群れゐつつ、歯固めの祝ひして、餅鏡をさへ取り混ぜて、千年の蔭にしるき年のうちの祝ひ事どもして、そぼれあへる

(あちらこちらに寄り合っては、歯固めの祝いをして、鏡餅まで取り加えて、千歳の栄えも明らかな新年の祝い言を唱えて、戯れ合っている)



新春行事〜餅鏡(もちいかがみ)〜
餅鏡 餅鏡は、見たり眺めたりして長寿を祈り祝うものです。
餅鏡
中将の君 源氏の召人(めしうど=源氏の情けを受けた女房)である中将の君。

中将の君は餅鏡に源氏の千歳の長寿を祈り、祝っています。



新春行事〜歯固め(はがため)〜
「歯」は「齢(よわい=人の年齢)」のことで、年頭に当って様々な物を食べ、齢(よわい)を固めて健康と長寿を祈る行司で、元日より三日まで行われる。
大根 ・菰
押鮎 ・焼鳥
猪宍・ 猪宍
押鮎・ 煮押鮎
屠蘇



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