風俗博物館
4 「藤裏葉」より後朝(きぬぎぬ)の文(ふみ)
≪東の対北廂にて:「藤裏葉」より内大臣邸と見立てる≫

|  夕霧と雲居の雁の結婚許諾の宴の翌朝、夜が明けぬうちに六條院に帰った夕霧は雲居の雁へ後朝(きぬぎぬ)の文を届けた。その文は今までと同じように目立たぬように心遣いして届けられたが、内大臣〔写真左〕が雲居の雁〔写真右〕のもとへ来てその文をご覧になる。父に夕霧の後朝の文を見られた雲居の雁は遠慮して返事を書けないでいる場面である。 いつも人目を忍んで二人の文使いをしていた右近将監(うこんのしょうげん)は晴れて後朝の文使いを仰せつかり、並々ならぬ禄も賜り感慨もひとしおである。 <博物館レジュメより>  | 
    
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       禄(ろく)を賜る文使いの右近将監督(うこんのしょうげん)〔左〕 禄を授ける雲居雁(くもいのかり)の兄・柏木〔右〕  | 
    
|  夕霧からの後朝(きぬぎぬ)の文を見る内大臣。 文には 尽きせざりつる御けしきに、いとど思ひ知らるる身のほどを。堪へぬ心にまた消えぬべきも、 とがむなよ 忍びにしぼる 手もたゆみ 今日あらはるる 袖のしづくを (打ち解けて下さらなかったご様子に、ますます思い知られるわが身の程よ。耐えがたいつらさに、またも死んでしまいそうだが、 お咎め下さいますな、人目を忍んで絞る手も力なく 今日は人目にもつきそうな袖の涙のしずくを ) と書かれていました。 夕霧からの後朝の文を父・内大臣に見られて、返事を書けずにいる雲居雁。  | 
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       夕霧と雲居雁の寝室である御帳台。 衾(ふすま=掛け布団)は、ここでは直垂(ひたたれ)型のものを展示されていました。  | 
    
| 東の対北廂を東から見たところ。 | ![]()  |